"3000万円と捨てられた母の罠" 第11話
ナースステーションにいました。あ、と、はる子が声をかけた。泉さんが顔をげた。 「おばあちゃん、どうかなさいましたか?」 「お願いがあるんです」 はる子は声を潜めた。泉さんがづいてきました。 「話をかけさせてもらえませんか?」 泉さんの表が困惑に変わった。 「おばあちゃん、保護者の方のどうしても……」 「分かっています。でも、どうしてもかけなければならない話なんです」 はる子は泉さんの目をまっすぐに見つめた。泉さんはしばらくためらっていました。 「どなたにですか?」 「友にです。60来の親友に」 泉さんは周りを見回した。の職員はいません。 「し待っていてください」 泉さんはナースステーションのへ入っていった。はる子はで待った。臓がく音をてています。
泉さんがてきた。には携帯話を握っていた。 「にお願いします」 はる子は頷いた。泉さんが携帯話を渡してくれた。 「廊の突き当たりへどうぞ。あそこは静かですから」
はる子は携帯話を受け取り、廊の突き当たりへ歩いていった。が震えていました。番号を押しました。美恵子さんの番号。覚えていました。何も変わらない番号でした。
呼びし音が鳴った。 「もしもし」 聞き慣れた声がしました。美恵子さんでした。はる子の唇が震えた。言葉がません。
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喉が詰まりました。 「もしもし、どなたですか?」 美恵子さんが再び尋ねた。はる子は息をえ、をいた。 「美恵子さん、私よ、はる子よ」
美恵子さんの声が驚きでくなった。 「どこにいるの? どうして連絡がなかったの? 何度もにったのに誰もいなくて……」 はる子は涙が込みげてきました。しかし、こらえました。泣いてはいけない。 「私、介護ホームにいるの」 「介護ホーム? どうして? 息子が私をここに捨てたのよ」 「何ですって?」 美恵子さんの声がきくなった。はる子は周りを見回した。幸い誰もいません。 「息子と嫁が私を認症にして、財産を奪おうとしているの」 「はる子さん、どういうことなの? 健君が……」 「ええ、証拠もあるの。録音したわ」 はる子はできるだけく話しました。がありませんでした。 「借のせいよ。にもをしたみたい。私が助けてあげなかったからこんなことをしたのよ」
美恵子さんはしばらく何も言いませんでした。息遣いだけが聞こえてきます。 「はる子さん、今どこの施設にいるの?」 「希望の介護ホームよ、にあるわ」 「すぐに連絡するわ。直に……」 直、美恵子さんの息子。警察官でした。 「本当にお願い」 「配しないで、しだけ耐えるのよ」 「うん、ええ、ありがとう」 「はる子さん」 美恵子さんの声が震えていた。「すぐに会いにいくから」 「いいえ」はる子は涙がそうでした。
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でもこらえました。「ええ、来るはね、気をつけて」 話が切れました。
はる子は携帯話を見ろした。が震えている。泉さんがづいてきました。 「終わりましたか?」 「はい」 はる子は携帯話を返した。泉さんは何も言いませんでしたが、そのまなざしは複雑でした。 「ありがとう」 はる子はさく言った。泉さんはただ頷くだけでした。
部に戻りました。はる子はベッドに座った。全の緊張が溶けました。美恵子さんがいてくれる。直さんが助けてくれる。はる子はズボンの縫い目を触った。ペン型録音がそのにありました。
次のはいつも通りに過ごしました。事をし、廊を歩き、ぼんやりとしていました。演技を続けたのです。
午3頃でした。泉さんがはる子の部に来ました。 「おばあちゃん、しにませんか?」 はる子はちがった。泉さんについて廊を歩いた。非常階段へ向かいました。泉さんがドアをけると、階段に40代半くらいに見える男性がっていました。
「はる子様でいらっしゃいますね」 男性が静かに尋ねた。はる子は頷いた。 「母、美恵子から話は伺っております。直と申します」 直さんでした。はる子は彼を見た。美恵子さんに似ています。 「お母様から直接詳しいお話を伺った方が良いとい、内密に参りました」
はる子は頷いた。直さんは階段に腰掛けた。はる子も座った。 「最初からゆっくりとお話しください」
はる子は息をえ、話し始めた。