"七歳の女の子が握りしめた富士山の木札" 第14話
は2になった。番台の子に座って言う言も、しだけきくなった。
「いらっしゃいませ!」
「声がたな」
「2だから」
「腹からてるなあ」
「毎練習した。お呂のでも言ってるんですよ」
「湯舟でか? よく聞こえるんだもん」
桜湯の、俺は葉を袋に入れて湯に浮かべた。閉、は湯舟の隅にしゃがみ込んで、1番形のいいびらを1枚救った。それを透な袋に入れて、事そうに持って帰った。
末、俺は若林さんに料を渡した。
「今の分です」
「ありがとうございます」
若林さんは両で封筒を受け取って、それをエプロンのポケットに入えた。そのまま番台に戻って、いつも通りに札を渡し始めた。
3経っても封筒はポケットに入ったままだった。みが変わっていない。
「若林さん、それ、確かめてもらわないと困るんですが」
「見ています」
「けてないでしょう」
「はい」
若林さんはポケットから封筒をして、指で端をなぞった。
「こんな私でも仕事ができたんだって、嬉しくて」
「そうですか」
「けたらなくなってしまいそうな気がして。おかしいですよね」
「おかしくないです。宮さんは初めての料、覚えていますか?」
「覚えています。設備の会社にいた頃です。全部じいさんに渡しました」
「渡したんですか?」
「そしたらそのまま返されました。自分のために使えと言われて、結局使いがいつきませんでした」
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「似ていますね、私たち」
「そうかもしれません」
若林さんは笑って、封筒をまたポケットに戻した。それがいたのがいつなのか、俺は聞かなかった。
数、がしい着を着てに来た。袖がしい。は俺ので腕をげて、それを何度もまくってみせた。
「おじさん、これしいの」
「似うな。きいけど、すぐ着られるから」
「お母さんが買ってくれたの」
「どこにったんだ?」
「駅ののお。2つが並んでて、こっちにした」
「自分で選んだのか?」
「うん。選んでいいって言われた」
「迷ったか?」
「全然」
「いな」
「こっちの方があったかそうだったから」
若林さんが番台の方でを止めていた。
「宮さん、やっと娘のものを買えました」
そこまで言って若林さんの声は震えていた。その、言葉は続かなかった。俺は何か気の利いたことを言おうとしたが、何も浮かばなかった。
「良かったですね、宮さん」
「ありがとうございます。俺は何もしていません」
「番台に座らせてくださいました」
「座っているのはあなたの力です」
それだけ言って正面に目を落とした。番台のので、自分の字がし歪んでいた。
5の勝負のは朝から客がかった。のれんをくぐるたび、みんな同じことを聞く。
「3代目さん、今は何の湯ですか?」
「勝負です」
「今は何の湯だ?」
「勝負ですって」
は番台の子のでだんだん嫌になっていった。
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「それ、私が聞くやつなのに」
「みんなが楽しみにしているのよ」
「じゃあ私は朝1番に聞く」
「毎朝聞かれても困るぞ」
湯がりの子には今も常連の女性がく座っていた。が牛乳を2本持って隣に座る。この2が並んでいるはもう、このの景になっていた。
昼過ぎに、けで来たという若い護師が入ってきた。回転1番の湯がこのの楽しみらしい。いつも学帰りのとちょうどがなる。
「、根元から乾かさないといけないのよ」
「そうなの?」
「そう。指を入れてからを当てるの。いっぱいが当たってる?」
「髪は乾かし方がなのよ。乾けば同じでしょう」
「そうじゃないんですって、おじさんか、鏡見て」
「なんだ?」
「私が乾かしてあげる」
「いい。俺の髪の毛は濡れていない」
「だめ、練習するの」
が真剣な顔で俺のにを当てた。護師が笑いをこらえていた。
閉に若林さんと2だけでを磨くのは、その頃にはすっかり課になっていた。は脱所の子で先に眠ってしまう。たわしの音だけが続く。その夜、若林さんの方から話し始めた。
「をたのことなんですけど」
「はい」
「3でした。父が決めたお相にあったのは2回だけです。父とは何も言いいになって、最にていくなら2度と戻るなと言われました」
「母も幼い頃にくなっています。
なので止めるは誰もいませんでした」