"七歳の女の子が握りしめた富士山の木札" 第19話
「わかりました。父には私から話します。宮さんには迷惑かけません」
「俺も緒にきます」
「いいんですか?」
「1ではかせません。は休みます」
「ありがとうございます」
それきり2とも黙った。タイルに落ちた滴の音が、井の方まで響いて戻ってくる。俺たちは空の浴槽の底にったまましばらくかなかった。
の脱所から寝息が聞こえた。が子で眠っている。
「起こしますか?」
「もうしだけ」
「わかりました」
「あの子には、私から話します」
「なんて言うんですか?」
「ここにむことになるかもしれないと」
「驚くでしょうね」
「いえ、分この町で1番驚かないです」
俺はさ苗さんのを引いて、2で空の浴槽からがった。そのを俺は脱所に着くまでさなかった。
8の終わりの朝、噂を最初に俺に教えたのは魚だった。くを通りかかった俺を呼び止めると、魚は氷を並べるを止めて声を落とした。
「3代目、妙な話が回ってる」
「何の話ですか?」
「番台の主はあの親子が持ちの孫と娘だとっててづいたんだと。目当てだって話だ」
「誰が言ってるんですか?」
「そこだよ。誰が言いしたのかみんならないんだ」
に戻り、俺はのれんをす。魚の話をいすと、がし震えていた。
9に学が始まると、の方にも響が現れた。
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持ちのの子だという話が教で広がったらしい。
「今きたくない」
「どうしたの?」
「みんな私のこと見て、ヒソヒソする」
がランドセルを背負わない朝が3ほど続いた。4目には担任の先が庭訪問に来た。その先は、学内でもこの噂の所がはっきりしていないと言った。
「学ではこの話は透な話として扱っています。子供たちにも噂だけで騒ぎてないように話はしています。ご迷惑をおかけしています」
「迷惑なのは噂を流している物です。教では私がついています。ひとまずさんが休みたいは休ませてください。来られるは必ず迎えます」
「先、私お持ちじゃないよ」
「分かってるよ。丈夫」
は次のから学へった。保健所から連絡が来たのはその週だった。湯の管理について申してがあったという。数に保健所のち入り検査が入った。俺は検査用に湯を提し、配管も全部けてみせた。記録は祖父の代からの面持だし……。
「よく残していますね」
「じいさんがかけと言ったので」
「湯の入れ替えも記録の通りですか?」
「うちは毎全部落とします。じいさんの代からそうです」
結果はどこも問題なしだった。
それなのに、客だけが消えた。保健所が入ったらしいという話だけが1歩きする。検査の結果がどうであったかは関係ない。
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番台から見ると、箱の札が半分も減らないが続いた。らかに朝湯と内で増えた客がごっそり消えた。
の持ち主から呼ばれたのは9の半ばだ。配ので、祖父の代から世話になっている。
「宮さん、悪い話じゃないんだ。あんたの建物ごと買いたいというが来ていてね。ここは売りません」
「ただ今は借の契約の更のだろう。私ももうでね、次の更をどうするかは考えさせてもらいたい」
誰かに圧力をかけられているのだろうことはぶりで分かった。誰が裏にいるのかも、そのなんとなく像がついた。
今井さんがに来たのはその夜だった。
「宮様、噂を落として回った男が分かりました」
「今井さん、体どういうことですか?」
「実は、会社の働きに入りしているものでございました。専務の指示でいていたようです」
「おじですか?」
今井さんは頷いた。
「専務は旦様のを継ぐつもりです。さ苗お嬢様が戻ればその話は消えます。今までお嬢様の居所を旦様には黙っていたようです。6、叔父は私の元に来ました。ずっとから専務はお嬢様のことをごでした」
「黙っていたのに今になって噂を流す理由が分かりません」
「私が見つけてしまったからでございます」
今さんが頷いた。
「お嬢様が戻れば自分はを継げなくなるですから、今度は旦様に見限らせようとしているのです。
『娘は目当ての男に囲われている』。