"七歳の女の子が握りしめた富士山の木札" 第20話
そうわせれば迎え入れる話はち消えるとったのでしょう。そのためにはこのを、宮様を悪く見せればそれで良いのです」
さ苗さんは番台の淵にをついた。6、叔父が突撃してきた玄関に向きった。あのから1度もさ苗さんの目のには現れなかったのに、裏でを回していたということだ。
「宮さん」
「はい」
「私、実に戻ります」
俺はさ苗さんを見た。
「私がここにいる限り、このには戻りません。噂もやみません。叔父の話も私がいなくなれば消えます」
「そんなこと……私のせいでこのがなくなるのだけは嫌なんです」
「はどうするんですか?」
「連れてきます。あの子はここがいいと言っています。言わせてるのはきっと私です」
さ苗さんは静かにそう言った。その、俺は何も返せなかった。
9の終わりに、俺は休業の札をした。釜のを落としたのはその朝だ。焚きをけてをかきして、をかける。ジッという音がして、それきり静かになった。の入っていない釜のは驚くほど寒い。でもないのに指先がえた。
俺はへた。庭先の楓が真っ赤になっていた。このは祖父がを建てたに植えたらしい。根よりくなって、この期になると通りの端からでも分かる。毎この赤のに、の象徴でもあるのれんがていた。
広告
今は楓のの赤だけが残る。のれんのかかっていないを、俺はまれて初めてから見た。
その考えたのは自分のことではなかった。俺があの2とれれば噂はき先をなくす。主の話も保健所の話も、俺というがなくなればを持たない。そうすればさ苗さんとの配はしでも減るはずだ。
その、商には1件ずつ詫びて回った。の期にやっていた内の湯をせなくなったこと。休むことを伝えた。
「噂が関係してんのか?」
「あんたのせいじゃないだろう。くをけてくれよ。うちの母ちゃんがくところがないんだ」
誰も俺を責めなかった。分かってはいたが、俺というがいたことで周りに迷惑をかけた。それが1番こたえた。
俺はさ苗さんに伝えようとした。実に戻るならその方がいい。そういえば彼女は楽になる。言葉は喉のところまで来たがてこなかった。20と同じ所で止まった。結局何も成していなかった。
代わりに俺は棚の1番から札を取った。富士が掘られた札。俺はそれをに包んだ。俺はその包みをのにす。
「これ、返しておく」
「なんで?」
「はしばらくけない。だから持っていた方がいい」
は包みを見たが受け取らなかった。両をろに回して歩がった。
「いらない」
広告
「」
「それ、私の札でしょ?」
「そうだ」
「なくしちゃだめなんでしょ。『なくすなよ』って言ったのおじさんだよ」
俺は言葉がなかった。包みを持ったがそのままりた。
「おじさんが持ってて、おに置いといて。じゃないと私の所なくなるもん」
そのさ苗さんが俺のにった。
「宮さん、それはずるいです」
「さ苗さん」
「1で決めないでください。あなたが引くのなら、私たちが選ぶがなくなります」
「あなたも実に戻ると言いました」
「ええ、今のあなたと同じことをしようとしました。だから分かるんです。あれは逃げなんです」
さ苗さんは俺の元にある包みを見た。
「私はここにいたいと言いました。あのの私の返事をなかったことにしないでください」
その、のれんのない入りから声がた。
「3代目、がるぞ」
魚が返事も待たずに俺たちがいた脱所までがってきた。ぶらだった。
「今の最の内な。井戸から引いてまいった」
湯気がたなかった。
「すみません」
「謝るところが違う」
魚は突然子を取ってをげた。
「悪かった。俺は最初、あの噂を半分信じた。あんたが目当てだなんてありえないとってるくせにだ。のを疑うに、あんたを疑った。すまん」
言おうとしたが魚は顔をあげなかった。
そのに元の老も入ってきた。
「いつける?」
「まだ決めていません」
「今決めろ」
それだけ言って老はがりに腰をかけた。帰らないつもりらしい。