"「2度と戻るな」姑と500万円の偽造委任状" 第1話
義母は腕を組み、勝ち誇ったような顔で私を見ろした。
「実がそんなに好きなら、2度とこのに戻ってくるな」
夕暮れのたいの、義母の鋭い声が響き渡った。
私は鳴り返すことも、泣き叫ぶこともしなかった。
ただ、目のの景を静かに見つめていた。
玄関ののコンクリートのには、私の荷物が積みになっていた。
通勤用のベージュのコート。
お気に入りのパンプス。
引きしに入っていたはずの仕事用の化粧ポーチ。
が半分びしたダンボール箱まで、無造作に放りされていた。
義母は、私が泣いて謝り、許しを乞うとっていたのだろう。
所の目を気にして、慌てて荷物を拾い集めると信じていたはずだ。
けれど、私はかなかった。
は震えていない。
のは議なほどたく、透き通っていた。
私はゆっくりとバッグをけた。
から取りしたのはキーケースだ。
属のたい触が指先に伝わる。
私はそこから、8毎使い続けたこのの鍵をした。
チャリンというさな音が、夕暮れの空気に響く。
私はその鍵を、玄関脇の郵便受けのにそっと置いた。
私は義母の顔を真っ直ぐに見つめ返した。
「分かりました」
私がにしたのは、そのい言だけだ。
義母の眉が、ピクリといた。
まさか私が本当に鍵を置いてちるとは、っていなかったのだろう。
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ちょっと反省したら、に入れてやろうとったのに。
義母が慌てて何かを言いかけた。
けれど、私はすでに背を向けていた。
このの義母は、まだ気づいていなかった。
私が置いていったそのさな鍵が、義母のい描く老を全て崩しる引きになることに。
そして、私がすでにある決断をしていたことに。
私は元に散らばった荷物のから、仕事の具と貴品だけを拾いげた。
残りの荷物は、そのまま放置した。
義母がろで何かを叫んでいる。
けれど、私のにはもう届かなかった。
私はのドアを閉め、エンジンをかけた。
シートベルトを引きした、コートのポケットのでカサリと音がした。
それはさなレシートだった。
帰りにスーパーで買った、洗濯洗剤と噌のレシートだ。
帰りに買ってきますと、今朝ちゃんと義母に伝えていたものだ。
助席の元には、その洗剤と噌が入ったエコバッグが置かれている。
頼まれた買い物を済ませて帰ってきた嫁を、義母は問答無用で追いしたのだ。
理由はただ1つ。
私が今、実の母の72歳の誕を祝いにったからだ。
嫁いだがいつまでも実に入り浸って。
それが義母の癖だった。
に1度、で50分の距にある実へ帰るだけで、義母はいつも嫌になった。
今はに1度の母の誕だ。
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それでも義母にとっては、許せない為だったのだ。
私はハンドルを握るに、しだけ力を込めた。
8、私は義母の嫌に耐え続けてきた。
夫の弘に訴えても、逃げられるだけだった。
母さんもだから気にするな。
もうしだけしてくれ。
夫のその言葉を信じて、ここまでやってきた。
けれど、今で終わった。
玄関のに投げされた自分の靴を見た瞬、私ので張り詰めていた糸が完全に切れたのだ。
あのには、私の居所は最初からなかった。
ただの便利な政婦だったのだと、ようやくはっきりと分かった。
夜のをりながら、私は1度も涙を流さなかった。
しいというよりも、議な堵に包まれていたからだ。
50分、私は実のにを止めた。
昼、誕を祝ったばかりのだ。
私が玄関をけると、母のが驚いた顔でっていた。
母は私のにある荷物を見て、全てを察したようだった。
どうしたのとは聞かなかった。
母は優しい声で、静かに言った。
「今は帰ってきていいだったんだね」
その声を聞いた瞬、ずっとしていたものが気に溢れした。
私は玄関に座り込み、初めて声をあげて泣いた。
義母に追いされたしみではない。
自分の母親のでようやくただの娘に戻れた、堵の涙だった。
母は温かいお茶を入れてくれた。
ずっとここにいなさいとは言わない。