"「2度と戻るな」姑と500万円の偽造委任状" 第14話
義母は弘の方へ向き直り、指を突きつけた。
「弘、このは私の名義よ。8賃タダでませてやったんだから、500万円くらい置いてきなさい」
義母はさらに声を張りげた。
「それが嫌なら、おたち夫婦揃って今すぐこのからていきなさい!」
義母はそれが最の脅し文句だとっていたのだろう。
を追いされるといえば息子は困り果てて自分にすがりついてくる。
おも渡し、嫁も言うことを聞くようになる。
そう固く信じ込んでいるのが痛いほどわかった。
しかし弘の反応は、義母の予とは全く違うものだった。
弘は鳴る気力も失せたように、く肩を落とした。
そして、まるで汚いでも見るような目で母親を見つめた。
弘のからたのは、ひどく掠れた言だけだった。
「分かったよ」
義母はの抜けた声を漏らした。
「え?」
弘はテーブルのの委任状のコピーをに取った。
そして義母の目ので、それを真っつに破り捨てた。
弘は静かに宣告した。
「このは1円とも渡さない。俺はもう、母さんの面倒は見ない」
その言葉を聞いて、義母の顔からさっと血の気が引いた。
義母は震える声で尋ねた。
「かずひろ、何を言っているの?」
弘は酷に言い放った。
「そのままのだ。自分の老は、自分でどうにかしろ」
弘はそう言い捨てて、背を向けた。
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バタンといドアの閉まる音が響き、弘はリビングからていった。
部には私と義母だけが残された。
義母は呆然とち尽くし、破られた切れを見つめている。
私は青いファイルをバッグにしまい、静かにちがった。
私は淡々と言った。
「では、私もこれで失礼します」
私が歩きすと、義母が慌てて私の腕を掴もうとした。
「ちょっと待ちなさいよ。あんた、弘に何を吹き込んだの!」
私は義母のを静かに、しかし力く振り払った。
私は義母の目を真っ直ぐに見て言った。
「私はただ、事実を教えただけです。ご自分でおっしゃった通り、妹さんとお幸せに暮らしてください」
義母が背で何かを叫んでいたが、私は1度も振り返らなかった。
をると、たいのが頬を撫でた。
のエンジンをかけると、私のは驚くほど澄み切っていた。
8のいが、ようやく完全に断ち切られたのだ。
翌から、私はしい活に向けた準備を本格に始めた。
実の母にいつまでも甘えているつもりはない。
私は以から目をつけていた、隣町のさな1DKのアパートを契約した。
築数はし古いが、当たりが良く静かな宅にある部だ。
敷と礼は、私個の貯から支払った。
週末に、実の母と緒に具へった。
さなダイニングテーブルと1用の蔵庫。
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そして清潔ないベッド。
必最限のものだけを買い揃えた。
母はくを語らなかったが、帰り際にそっとしいお茶碗とお箸を持たせてくれた。
母は優しく微笑んで言った。
「1でべるご飯も、美しくしなきゃね」
その言葉に、私はしだけ泣きそうになった。
自分のでつということはこういうことなのだと実した。
しいアパートでの活が始まった。
朝、誰の音に怯えることもなく目を覚ます。
自分のためだけにコーヒーを淹れ、トーストを焼く。
洗濯物は自分の分だけを丁寧に干すことができる。
夜仕事から帰ってきて玄関をけると、そこにはい静寂があった。
遅いじゃないの、夕飯まだなの。
そんな棘のある言葉を投げつけてくるはもうどこにもいない。
私はソファにく腰掛け、温かいお茶をんだ。
テレビの音もなく、ただ計の針がむ音だけが聞こえる。
これが私の求めていた、自分の居所だった。
誰の顔も伺う必のない絶対な。
8私が失いかけていた自分の尊厳が、しずつ回復していくのをじた。
それは私にとって、何にも代えがたいきな報酬だった。
しかしその頃あの井では、弘にとっての静かな獄が始まっていた。
私のアパートでの活が始まって1週ほど経った頃だ。
私のスマートフォンに、弘からいメッセージが届いた。
『しだけ会って話せないか』