"「2度と戻るな」姑と500万円の偽造委任状" 第15話
その文からは、弘の疲弊し切った様子が痛いほど伝わってきた。
私は仕事帰りに、駅の喫茶で会うことを承した。
約束のに現れた弘は、1週よりもさらにやつれていた。
目のの隈は黒く沈み、ワイシャツの襟はヨレヨレだ。
弘はコーヒーをむと、いため息をついた。
弘は俯いたまま、ぽつりぽつりと話し始めた。
「母さんが、毎泣き叫んでいるんだ」
あの話しいの以来、義母の態度は急変したそうだ。
気な態度はどこへやら、今度は被害者ぶって弘にすがりついてきたのだ。
私を捨てる気か、親を見殺しにするのか。
夜勤けで疲れて帰ってきた息子に、毎泣きながら絡んでくるそうだ。
さらに私がをたことで、事は全て弘の方にのしかかった。
義母は腰が痛いと言い訳をして、切の事を放棄している。
弘が仕事で疲れて帰っても、夕の準備はない。
流しには汚れた器が積みになり、洗濯物はカゴから溢れ返っている。
自分でレトルト品を温め、母親の愚痴を聞き流しながらべる毎。
それは私が8耐え続けてきた常そのものだった。
弘は両で自分の顔を覆い、絞りすように言った。
「俺、おが8どれだけ変だったか、やっと分かったよ」
弘の言葉は、い悔に満ちていた。
広告
「母さんは俺のことなんてどうでも良かったんだ。ただのづるで、便利な召使いだったんだ」
自分が母親の嘘に加担し、妻を追い詰めていたことにようやく気づいたのだ。
弘はテーブルのでくをげた。
「弓、本当にすまなかった。俺が全部悪かった。だから戻ってきてくれないか。もう1度やり直したいんだ」
喫茶の静かなBGMの、弘の懇願する声だけが響いた。
しの私なら、このボロボロになった姿を見て同し、許していたかもしれない。
でも今の私は違う。
私はめたコーヒーのカップを見つめながら、静かにをいた。
「戻らないわ」
弘が弾かれたように顔をげた。
私は弘の目を真っ直ぐに見つめ返した。
「私は今、しいアパートで1で暮らしています。そこはとても静かで、息がしやすいの」
私は言葉を続けた。
「あなたは今、自分が辛いから私を呼んでいるだけでしょう」
弘は何も言えずに固まっている。
「お義母さんとの活から逃げしたくて、私にまた面倒を押し付けようとしているだけ。結局8から、何も変わっていないじゃない」
弘は言葉を失い、を半きにしたまま固まった。
痛いところを突かれ、反論の言葉が見つからないのだ。
私は伝票をに取り、席をった。
「もう度言うわ。私はあのには戻らない。
広告
あなたが自分のをどうするのか、自分で決めなさい」
弘は私のろ姿を、ただ見送ることしかできなかった。
彼が本当ので覚悟を決めなければ、この問題は決して終わらない。
そして数。
追い詰められた弘は、義母も私も予していなかったきなにることになるのだ。
喫茶で私にたく突き放された、弘はい取りで実へと帰ってった。
夜の10を回ったのは暗く、妙な活臭が漂っていた。
玄関には弘の革靴と義母のサンダルが脱ぎ散らかされている。
私がいた頃なら必ず端に綺麗に揃えられていたはずの靴だ。
リビングのドアをけると、そこには目を覆いたくなるような景が広がっていた。
テーブルのにはコンビニ弁当の空き箱と、みかけのペットボトルが散乱している。
流し台には昨から洗われていない器が積みになり、嫌な匂いを放っていた。
には聞が散らばり、部の隅には畳まれていない洗濯物がになっている。
義母はその散らかった部の真んで、テレビを見ながら寝転がっていた。
弘の顔を見ると、義母は体を起こし、満げにを尖らせた。
「遅いじゃないの。夕飯はどうするのよ?」
弘は何も答えなかった。
義母は弘がぶらであることに気づくと、さらに声を荒げた。
「あの子は連れ戻してこなかったの?私腰が痛くて限界なのよ。くあの子を戻して、のことをやらせなさいよ」