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"「2度と戻るな」姑と500万円の偽造委任状" 第26話

私は弘を見つめた。

「あなたは今、逃げずに自分の責任を果たそうとしました。自分の母親を見限り、自分の庭を守る決断をしました。8遅かったけれど、あなたは変わったのです」

私は弘の目をしっかりと見つめながら言った。

「だから、もう1度だけ、元に戻るのではなく、しい所から緒に歩き始めてみませんか?」

弘の目から、粒の涙が溢れした。

彼は声にならない声で泣きながら、何度も何度もく頷いた。

婚届の用は、テーブルの端へ静かに押しやられた。

義母は正式な続きを経て、あのから退した。

警察の捜査の結果、齢であることと初犯であることが考慮され、逮捕には至らなかったが厳しい厳を受けた。

弘の定期預は、もちろん無事だ。

義母は現、郊さな単アパートで、ギリギリの活を送っているそうだ。

妹の子からは完全に縁を切られ、話にもてもらえない孤独な老

それが、自分が8私に与え続けた苦しみの当然の報いだった。

私たち夫婦は、私の実から所にさな古のマンションを購入した。

義父の残したあのは売却し、そのおしいの資に充てた。

引越しのの夜。

しいマンションの玄関に、私と弘の靴が並んで置かれている。

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私はその景を見て、ふと1の母の誕した。

あの夕方、私の靴はたいコンクリートのに放りされていた。

がそんなに好きなら2度と戻るなという酷な言葉と共に。

あのの夕暮れのたい空気とい絶望は、今でも忘れることはない。

リビングから、弘の穏やかな声が聞こえてくる。

「弓、お茶が入ったよ」

私は笑顔で答えた。

「ありがとう。今くわ」

とは誰かに戻っていいと許してもらう所ではない。

自分が自分のち、切な緒に選び直す所。

私が8失いかけていた尊厳と、本当の居所。

それを取り戻した今、私のはどこまでも穏やかで静かな幸福に満ちていた。

しいマンションでの活が始まって、半が過ぎた。

の朝。

私はカーテンの隙から差し込む、柔らかい朝で目を覚ました。

隣のベッドは、すでに空になっている。

リビングの方から、コーヒー豆を挽くかすかな音と、トーストのばしい匂いが漂ってきた。

私はゆっくりと体を起こし、部を見渡した。

埃の匂いもしない、静かで穏やかな空だ。

8、私は毎朝5に起きてたい台所にっていた。

義母の音が聞こえるたびに、今は何を言われるのだろうかと無識に体を張らせていた。

しかし今は違う。

誰の嫌を伺うこともなく、自分のペースで呼吸ができる朝。

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それがどれほど贅沢で尊いものか、私は毎朝目を覚ますたびに実している。

リビングのドアをけると、弘がエプロン姿でキッチンにっていた。

器用な付きで、目玉焼きをお皿に移している。

私の音に気づくと、弘はしだけ照れ臭そうに笑った。

弘はマグカップを用しながら言った。

「おはよう、弓。ちょうどコーヒーが入ったところだ」

弘はマグカップに温かいコーヒーを注いでくれた。

同居していた頃、弘が休の朝に台所につことなど1度もなかった。

男が台所に入るなんてという義母の古い価値観に縛られ、げ膳据え膳が当たりだとっていたのだ。

しかしあの古いてから、弘はしずつ変わった。

自分のは自分で洗い、休事は率先して作ってくれるようになった。

伝わされているのではなく、共に活を作っているのだという識が、そのから伝わってくる。

私はマグカップを両で包み込み、温かいコーヒーをんだ。

私は微笑んで言った。

「ありがとう。とても美しいわ」

その言葉に、弘は堵したように目尻をげた。

私たちは向かいって、静かに朝を取った。

テレビの音はない。

ただ2の穏やかなだけが、そこには流れていた。

弘はに1度だけ、義母のむアパートへを運んでいる。

活に必な、どうしてもりない分だけのおを封筒に入れて渡すためだ。

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