"診察室に入れなかった私" 第11話
私はくをげました。 渡された正式な『入院同』と『治療計画』に、私は自分ので、、魂を込めるように自分の名をき込みました。 自分の体と、お腹ののが子の未来を、のから自分ののへと取り戻した瞬でした。
病院をた、計は午を回っていました。 の陽がり注ぐ、私は駅のドラッグストアで、入院に必なきのパジャマやタオルを買い揃えました。 荷物はくなりましたが、は議と澄み切っていました。 あとはに戻り、健にこの決定を通告するだけです。彼が喚こうが泣こうが、もう私の決が揺らぐことはありません。
しかし、私が自宅マンションの玄関ドアをけた瞬、その静かな決は、予期せぬ闖入者によって打ち砕かれることになりました。
玄関のタタキに、見慣れない婦物のパンプスが脱ぎ捨てられていました。 品だが、どこか押し付けがましいデザインの靴。
健の母親——義母の子さんのものでした。
「……千さん、お帰り」
廊の奥から聞こえてきたのは、たく尖った義母の声でした。 リビングのドアをけると、そこには異様な景が広がっていました。
ソファにく沈み込み、両で顔を覆ってさく震えている健。 そしてその隣に、仁王ちになって眉をつりげている義母の姿がありました。
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「お義母さん……どうしてここに」
私が買い物袋を抱えたまま尋ねると、義母はツカツカと股で歩み寄ってきました。
「どうしてですって!? こっちが聞きたいわよ! 健から全部聞いたわ!」
義母は私の持っていたドラッグストアの袋をひったくるように奪い、を覗き込みました。
「入院用のパジャマ!? あなた、本当に健に内緒で勝に入院の続きをめていたのね!? 病院から健の携帯に入院予約の確認ショートメールが届いた、この子がどれだけ取り乱したか、あなた分かっているの!?」
健が携帯の通でったのだと、私はすぐに理解しました。 病院の自配信システムが、以登録されていた夫の連絡先に確認メッセージを送ってしまったのでしょう。
「ええ、入院します。私の血糖値と赤ちゃんの血流の状態が良くないんです。今すぐ処置を受けなければ、赤ちゃんが危険だと医師から言われました」
私は極めて静に答えました。 しかし、義母はを貸そうともしませんでした。 でせせら笑うようにフンと息を吐き、私を指差しました。
「げさなのよ! 今の医者は何でもかんでも病気にしたがるんだから! 昔はね、血糖値がかろうがお腹が張ろうが、みんな自然に産んでいたの! 健がどれだけあなたをって、体に余計な注射を打たせないように、痛いいをさせないようにを砕いてきたか……! あの子のその優しさを、何だとっているの!?」
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「優しさ……?」
私の喉から、く掠れた声が漏れました。
「そうよ! 健はね、優しい子なの! あなたにストレスを与えないように、全部で背負い込んでいたのよ! それを『嘘をつかれた』だの『偽造だ』だの、よくもそんなげのない言葉でこの子を責められたものね! しは夫に謝したらどうなの!?」
義母の甲い声が、狭いリビングに響き渡ります。 その横で、健がようやく顔をげました。 その目は真っ赤に充血し、涙とでぐしゃぐしゃに汚れていました。
「千……っ」
健はソファから転がり落ちるようにして、私の元へとい寄ってきました。 そして、私の膝に縋り付いて、のが声をげて泣き始めたのです。
「頼むよ、千……入院はやめてくれ! キャンセルしてくれよ! 俺が悪かった、嘘をついたのは謝る! でも、俺は君と赤ちゃんを失いたくないんだ! もし薬を使って、万が赤ちゃんに奇形がたらどうするんだ!? もし注射の副作用で君の臓が止まったら、俺はどうやってきていけばいいんだよ!?」
健の涙が、私のマタニティスカートに染みを作っていきます。
「自然が番なんだ! 何もしなければ、誰も悪くならない! 俺が毎、もっと体にいいご飯を作るから! 会社も休職して、君のそばにずっといるから! だからお願いだ、余計な医療に頼らないでくれ……! 俺たちを壊さないでくれよぉっ!」