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廊下の清掃員が紡ぐ奇跡のメス

廊下の清掃員が紡ぐ奇跡のメス

佐藤 慎一 完結 285

「耳も遠いのか? さっさと片付けろ、これだから安賃金の東洋人は……」 全米屈指の権威を誇るコロンビア大学病院の深夜。エリート研修医たちは、最底辺の年老いた清掃員に向かって剥き出しの軽蔑と悪意を浴びせていた。この青い作業着を着た小柄な男、桐生徹こそ、かつて日本の心臓外科界で「神の手」と讃えられながら、5年前の少年患者の術中死というトラウマでメスを捨てた伝説の天才外科医だった。当時の彼は、名誉も家族もすべてを奪われ、誰も自分を知らない異国の冷たい床を磨くことで自らを罰し続けていた。 しかし、嵐の夜に起きた歴史的急患――連邦上院議員の広範前壁中隔心筋梗塞による心肺停止という絶望的な状況が、病院を完全な外科的空白地帯へと変える。執刀医不在、制限時間まであとわずかという極限の修羅場の中、桐生は自らの封印を解くことを決意する。 「私に、やらせてください」 果たして、清掃員の正体に気づいた病院中のエリートたちが震え上がる中、伝説のメスが刻む驚愕の結末とは何なのか。そして、すべてを救った彼が再び選んだ、魂の救済の道とは――。

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