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十年介護と九千万円

十年介護と九千万円

冷えた急須 完結 591

十年間、右半身麻痺で寝たきりの兄を一人で介護してきた。 手はあかぎれで裂け、自分の人生も貯金もすべて兄の下の世話に消えた。 その日常が終わったのは、ある深夜二時。 誰もいないはずの台所で、カチリとライターの音がした。 暗闇の中、すっくと立ち上がった兄が吐き出した煙。 そして見つかった、私の名義でかけられた九千万円の死亡保険と、毎日の麦茶に混ぜられていた血圧を下げる白い粉。 「あの愚図、早く死なねえかな」 十年間、声すら出せなかったはずの兄が、電話の向こうで笑っていた。

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